最近世間を騒がしているアフガニスタンのニュースですが、そこで登場するターリバーン(タリバン)の正体を皆さんがいまいちわからないと思いますので、ここで解説しましょう。
※この記事は、現在進行形の事柄を扱う記事になります。情勢が変わることで、記事に編集が入る可能性があります。なお、事後編集箇所等を個別に示す措置は致しません。予めご了承ください。
ターリバーンとは
ターリバーンとは、アフガニスタンやパキスタンを中心に活動するイスラーム急進派の組織です。あのー、勘違いしないでほしいですが、「イスラーム=危ない人」ではないですよ。ターリバーンというのは、イスラームの中でも過激な組織です。
また、ひとむかし前に話題になったイスラム国(IS)とは対立関係にあります。イスラーム過激派にも、色々立場がありますよ。
ターリバーンのあゆみ
アフガニスタン前史
アフガニスタンは、もともとイギリスの保護国でした。しかし1919年の第三次アフガン戦争の際に独立を果たしました。これ以降は、王政が続きました。
1970年代以降のアフガニスタン
1973年に国内でクーデタがおこり、王政が廃止されました。当時の国王はイタリアに亡命し、共和政が成立しました。
ソ連の介入
当時のアフガニスタンは、ソ連といまいち仲良くなかったんですよ。そのアフガニスタンに影響された隣のイランでは、革命が起きました。もちろんイラン革命のことですよね。イランは当時ソ連と仲が良かったのですが、仲の悪い方向に行ったんです。するとソ連は次に何を恐れるでしょうか。この勢いがソ連に波及することを恐れます。
よってソ連がアフガニスタン侵攻を行い、親ソ政権を樹立しました。ところが冷戦中であったことで、アメリカはこれに反発しました。
ソ連とアメリカは、しばらく対立します。ところが社会主義というものに限界が見え始めた1989年、ソ連はアフガニスタンから撤退してしまいました。
ターリバーンの政権
ソ連が撤退すると、当然アフガニスタンの親ソ政権は弱体化します。そして、1992年についに崩壊してしまいました。その後は、しばらく内戦が続きます。
そのような中で登場したのが、ターリバーンです。彼らは1996年にターリバーン政権を樹立しました。また、アルカーイダもこの頃に誕生しています。
アメリカの介入
ことが動いたのは、2001年です。何の年でしょう? 同時多発テロです。同時多発テロの主犯は、ビン=ラーディン率いるアルカーイダです。ビン=ラーディンは、アフガニスタン(つまりターリバーン)にかくまわれていましたが、アメリカが引き渡しを要求しました。ところがターリバーンはこれを拒否です。怒ったアメリカ(ブッシュ大統領)は、アフガニスタン空爆を実行します。そして、ターリバーン政権を崩壊させ、暫定政権を発足させました。
これ以降は、ターリバーンという大民族に少数民族のアフガニスタン政府が挑む形となったため、なかなかアメリカの撤退が実現できませんでした。
ところが、2010年代は徐々に平和的な方向に向かっていきます。まず2012年にはNATO軍が撤退の方向性を打ち出します。2014年には米国も主要な軍事活動を終了するという方向になります。もちろん米国軍の駐在は続きますが。そして2015年には、アフガニスタン政府とターリバーンの和平協議が行われました。2016年には、パキスタン・アフガニスタン・中国・アメリカの4カ国で、調整グループが作られました。まあこれは失敗に終わってますけどね。
2020年2月に、アメリカとターリバーンの間で協定を結び、アメリカがターリバーンに対して、一定の条件付きでアフガニスタンから米国が撤退することを表明しました。そして2021年4月には、ついにアメリカのバイデン大統領が駐留米軍を完全撤退すると表明しました。いよいよこれで解決かと思われたその時、事件は起こりました。
ターリバーン政権の復活
ターリバーンは次々と国内拠点を押さえていき、ついに8月15日には首都カブールを押さえ、アフガニスタン全土を支配下に置きました。これをもって、ガニー大統領の政権は終焉しました。大統領は、その後国外に亡命しています。そして政権側の内務相代行が平和裏にターリバーンへの権力移譲を進めることを表明し、ついにターリバーン政権が20年ぶりに復活する見通しが出てきました。
そして、8月30日にはアメリカ軍の完全撤退が完了し、翌日にはバイデン大統領がアフガニスタン紛争の終結を宣言しました。同時にターリバーンはアメリカに対する勝利を宣言しました。
ターリバーン新政権への国際社会の反応
現時点(8/21)で中国とロシアについては、ターリバーン政権に友好的な姿勢を見せています。しかし一方で、イギリスや国連については懸念を示しています。日本については現時点で特にコメントをしておりませんが、おそらくアメリカやイギリスに同調するでしょうね。国際社会でもいろいろ分断が起きています。
ターリバーンの思想と政策
「ターリバーンが権力を持つのが、どうしてまずいの?」っていう考えを持っている方も多いと思いますので、ここでターリバーンの政策について紹介します。
まずは、娯楽や文化は全否定します。そして公開処刑については頻繁に行われました。また、女性差別も群を抜いています。学習や労働は禁止なだけでなく、親族男性を伴わなければ外出すら認められません。
イスラームの方向に合っているのか、よく考えてみてください。実はね、イスラーム思想を過激的にとらえると、否定はできないんですよ。まあ昔の人が作った教えなので、まさかこんなことになると思って作ってはいませんよ。しかし、コーランに男女平等という文言があれば、変な思想は生まれなかったんでしょうけど…
まとめ
今回はターリバーンについて徹底的に解説しました。今話題ですからね。しっかりついていけるように、色々知っておきましょう。
先程出てきた同時多発テロについては、こちらの記事をご覧ください(2021年9月11日公開)
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