〈古文〉助動詞「たり」「り」の使い方 〜完了と存続の見分け方〜

国語の記事のサムネイル古文

 今回は、完了の助動詞「たり」「り」の活用や使い方、見分け方について解説していきます。

完了の助動詞「たり」「り」

 完了を表す助動詞には、「つ」「ぬ」「たり」「り」の4種類があります。今回は「たり」「り」の使い方や活用、見分け方について解説します。

 「つ」「ぬ」についての解説はこちらをご覧ください。

接続・活用

 まずは活用を覚えましょう。

〜「たり」の活用〜

たら・たり・たり・たる・たれ・たれ

〜「り」の活用〜

ら・り・り・る・れ・れ

 接続についてですが「たり」はシンプルに連用形接続です。ただし「り」についてはサ変動詞の未然形と四段動詞の命令形に接続します。このことから「さみしめ,りかちゃん」(変の然形と段の令形に接続する「」であることから)と覚えることが多いですね。

意味・見分け方

完了の助動詞「たり」「り」

 基本的な意味は完了になります。訳は「〜た」「〜してしまった」でいいと思います。例文を見ておきましょう。

例)花散りたり(花が散ってしまった
  賢き人の書けもの(賢人が書い物)

存続の助動詞「たり」「り」

 完了以外にもう一つ意味があるんですね。それが存続になります。訳としては「〜ている」がベストでしょう。

例)花咲け(花が咲いている

 まあ存続の使い方自体はすごいシンプルなんですよ。

完了と存続の識別

 「たり」「り」で難しいのが識別です。皆さん思っているでしょう。「完了と存続の見極め方がわからん! どうしてくれるんだ!」ってね。教科書には「存続で訳せるなら存続で訳す」と書いてあります。そんなことを言われても難しいよね。でもね、これは文脈判断という最終手段を使うしかありません。

 そうは言ってもフィーリング一族の皆様には文脈判断は難しいことかと思いますので、イメージを伝えようと思います

古典の「たり」「り」は現代語の「た」!

 この考え方を推奨しているのは、私以外にほとんど見たことありませんけどね! 上に書いてある通り、古典でいう「たり」「り」という単語は現代語でいう「」だと思ってください。何を言っているかわからないと思いますので解説しましょう。

例)①私は昨日ここに来

 ①で使われる「た」ですが、もちろん過去や完了といったニュアンスが入っていますよね。これが「たり」「り」でいう完了用法だと思ってください。てことはですよ、現代語の「た」にも存続用法があるんですね。

例)②青い帽子をかぶっ人がいる。

 さあ②の「た」の意味はなんでしょう。これを過去ニュアンスで解釈する人はいませんよね。訳すなら「青い帽子をかぶっている人がいる」でしょう。ここでは存続で訳しています。

 ①と②の違いを考えましょう。日常生活には馴染みすぎてなんの違和感もありませんが、①を存続で訳すとさすがにおかしくなりますよね。「私は昨日ここに来ている」ですから、まあ明らかに不適当ですよね。それに対して②の方は「青い帽子をかつてかぶった人がいる」「青い帽子を今かぶっている人がいる」、どちらも解釈できるんですよ。でも現代語では存続で解釈しますよね。つまり、現代の我々はどちらも解釈ができる時には無意識に「存続」を選択して理解しているわけです

 どうでしょう。この話を聞くと、ただの文脈判断に頼らずとも、少しは適切な判断ができるのではないでしょうか。「存続と完了でどちらでも訳せるのであれば、存続を採用する」という方法は現代でも使われています。困った時は「たり」「り」を一度現代語の「た」に直して考えてみてください。

まとめ

 さあ今日は「たり」「り」を解説しました。「き」「けり」「つ」「ぬ」「たり」「り」の6種類はどれも過去・完了用法で少し混ざりやすいので、以下の記事も参考にしつつマスターしてくださいね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました