〈古文〉断定の助動詞「たり」の意味と用法 〜完了助動詞との識別〜

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助動詞「たり」

 「たり」は断定の意味を持つ助動詞になります。ただし、「たり」には完了の助動詞もありましたので、それとどのように見分けるかについて解説していきます。なお、完了の助動詞「たり」についてはこちらの記事をご覧ください。

活用・接続

 まずは活用から見ていきましょう。

「たり」の活用〜

たら・たり・たり・たる・たれ・たれ
  と

 注意してほしいのは連用形が2種類あることですね。後ろに「して」という接続助詞が来たときには「」を使います。この形がよく出てきますね。

 また、接続は体言です。直前には必ず体言があります。

意味

 助動詞「たり」の意味は、断定一択です。一応用法も見ておきますかね。

例)今日は人の上たり(今日は他人の身である

 名詞に接続していることが重要になります。

識別

 ややこしいのが、完了の「たり」と断定の「たり」の2種類があることですね。この見分け方だけは確実に覚えておきましょう。

〜「たり」の識別〜

名詞に接続なら断定
連用形に接続なら完了
「いと」を入れて成り立つなら形容動詞

 識別法をまとめてみました。完了と断定の助動詞では、接続が違います。動詞などの連用形に接続するなら完了(もしくは存続)になり、名詞に接続するなら断定になります。上の語が名詞か動詞か分からないことはないと思うのでこれで識別できますね。

 ちなみに形容動詞の見分け方も知っておきましょう。例えば「堂々たり」という言葉があったとき、これを「形容動詞の堂々たり」なのか、「名詞の堂々+助動詞のたり」なのか考え方は2パターンあります。こういう場合は、前に「いと」をつけましょう。それでおかしくなかったら大丈夫です。この時だと、「いと堂々たり」(たいそう堂々としている)で意味が通じるので、形容動詞とするのが正解です。

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