〈古文常識〉平安貴族の恋愛事情

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 古文には、男女の恋愛を話題にした文章がとても多いのは、皆さんもご存じですよね。ここでは、知っておいたら古文の理解に大きく役立つ平安貴族の恋愛についての常識を身に付けましょう。

恋愛のきっかけ(噂・垣間見)


 平安時代の女性たちは、現代と違って気軽に外出する習慣がなかった、つまり、非常に暇だったんですね。したがって、男性と出会う機会も極端に少なかった。
 そこで、娘が結婚適齢期になると、親や乳母などが娘の存在をアピールするようになる。男性たちはその噂を聞き、「どんなに素敵な女性であろうか」と女性の家を訪ね、積極的にのぞき見(=垣間見)をしました。今では逮捕不可避なことですが、当時はそれが常識であって、犯罪ではなかったのですね~、、羨ましくもなんともないですよ、別に。

懸想文(けそうふみ)の贈答


 噂で聞いた魅力的な(想像)女性に振り向いてもらうために、男性たちは必死にアプローチしなければなりません。では、お互いが顔を合わせられない中で、どうすればいいのか、そこで彼らは様々な趣向を凝らしたラブレター(=懸想文)を贈り始めます。その文体がまさに「和歌」ですね。

男の魅力・女の魅力

 ここまで来て、当時の男性女性それぞれにとっての魅力がなにか分かってきたのではないでしょうか。
 ・男性は噂のみを頼りにし、振り向いてもらうために懸想文を送る。
 ・女性は男性の家柄(=品)世間の評判(=聞こえ)、そして送られてきた手紙のセンスでをもとに判断する。複数の男性から求婚された女性は、さまざまな条件から、厳選した男性にのみ返事として、和歌を返します。
 和歌のセンスが問われるのは、男性も女性も同じです。上手な和歌を詠む教養のない女性は、乳母や侍女などに代詠してもらう場合も少なくなかったようです。(私が読んだことある文章では、ある女性のかわりに父親が男に和歌を贈り、男性がその和歌を詠んでベタ惚れするという内容がありました。なんとみじめなことでしょう。)

まとめ


垣間見 男性は噂で聞いた女性の家を覗きにいき、恋愛が始まる。

懸想文 男性は意中の女性に振り返ってもらうためにラブレターを贈る。

和歌 それぞれの判断材料が限られた当時において、和歌のセンスはとても重要であった。

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