〈数学〉「当選確率2倍」は詐欺です

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皆さんは普段生活をする中で「○○した方は当選確率2倍」のような文言を見たり聞いたりしたことありますか。しかし、これらは数学的に見て本当に2倍になるように設定されてるのでしょうか。

具体的に見ていきましょう。仮にAさん、Bさん、Cさんの3人が1人のみが当選するキャンペーンに1口ずつ応募していたとします。ここで新たにDさんがキャンペーンに参加することを想定します。
以下の場合について具体的に計算していきましょう。
① Dさんがこのキャンペーンに通常通り1口応募するとき
② Dさんがこのキャンペーンに2口応募するとき
①の場合は4人がそれぞれ1口ずつ応募しているので、Dさんは1/4の確率で当選します。一方で、
②の場合は5口の応募のうち、Dさんは2口応募しているので2/5の確率で当選します。

ここで「あれ?」と思いませんか?
Dさんは1口応募したときと2口応募したときでは、後者の方が2倍当たりやすいと思いませんか?
しかし、この場合確率を求めると(2/5)÷(1/4)=1.6となるから、1.6倍しか当たりやすくなっていないではないでしょうか???

このような現象は3人でなくても生じます。ここからは一般的にnを用いて計算していきましょう。
先ほどと同様に、n口すでに応募があるキャンペーンに
① 1口応募する
② 2口応募する
場合をそれぞれ考えます。①の場合の当選確率は1/(n+1)となり、②の場合は2/(n+2)となります。
②が①の何倍当たりやすいかを計算すると、{2/(n+2)}÷{1/(n+1)}=2(n+1)/(n+2)となります。
(n+1)/(n+2)は分母の方が大きい数なのでこの値は1を下回ります。それに2をかけても2未満となるため、絶対に2倍も当たりやすくなることはありません。ここで極限を知っている方なら、n→∞とすると、2(n+1)/(n+2)=2となるため、nが大きければ大きいほど2に近づくことは分かります。

このように、応募口数を2倍にしても当選確率はほぼ2倍になることはあっても絶対に2倍になることはないのです。これは自分が加えて応募した口数が分子だけでなく、分母にも加えられてしまうため起こる現象なのです。

万が一企業さんの中で「当選確率2倍」をうたいながら、その人の応募口数を2倍にしているだけならそれは厳密には詐欺になります。

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