こんにちは! 大人気企画の助動詞解説シリーズです! 今回は、古文の難所「む」「むず」について、がっつり解説していきたいと思います。
推量の助動詞
推量の助動詞は複数あります。ここでは全て挙げませんが、「む」「むず」「べし」「らむ」など、いくつもあります。その中で最もオーソドックスなのが「む」「むず」です。
まずは推量助動詞の基本を押さえに行きましょう。
推量の助動詞「む」「むず」
まず大前提からお話しますが、「む」と「むず」は意味・用法ともに全く一緒です。一応厳密な「む」と「むず」の違いだけお話ししておくと、「むず」の方がやや強意的な言い方ってくらいですね。
ちなみに1つ覚えておいてほしいことがあります。助動詞「む」は「ん」、「むず」は「んず」と書くときがあります。これ、意味的には全く一緒ですからね!
接続・活用
まずは活用を覚えてしまいましょう
〜「む」の活用〜
(ま)・○・む・む・め・○
〜「むず」の活用〜
○・○・むず・むずる・むずれ
接続については、双方未然形になります。まあ「推量」って通常は未来のことについて考えるので、まだ起こっていない「未然形」を使うのは当然ですよね!
意味
今回は意味が多いので、意味を全て説明した後に識別法を教えます!
推量
まず最もよく知られている意味が推量になります。「〜だろう」という形で訳してもらえれば綺麗です。
例1)雪いかならむ(雪はどうだろうか)
例2)人々来むず(人々が来るだろう)
ざっとこんな感じです。
意志
よく出てくる意味には、意志もあります。この場合は「〜しよう」の形で訳します。
例3)我行かん(私が行こう)
ちなみにこの例では「む」の代わりに「ん」が使われています!
適当・勧誘
続いては、適当・勧誘の意味です。「〜がよい」「〜しませんか」のように訳します。
例4)聞き給ひてむや(お聞き入れになりませんか)
例5)ねんごろにてありなむ(親切でいるのが良い)
仮定・婉曲
あとは仮定・婉曲の意味があります。仮定の場合は「もし〜としたら」、婉曲の場合は「〜のような」と訳します。
例6)討死せむこそ、心苦しけれ
(討ち死にしたら、痛々しい)
例7)参りむずる人(参上するような人)
婉曲とは、やや周りくどい表現で、それ自体に積極的な意味はありません。だって、「参上する人」も「参上するような人」も変わらないでしょ? あくまで古文読解では気にするところではなく、現代語訳問題においては「婉曲だってわかってますよ」のアピールで「ような」をつけてくれればOKです。
意味の見分け方
「む」「むず」の最大の難所は、やはり意味の見分け方。これを見分けられないようでは、使いこなせませんし、古文の点数もなかなか上がってきません。
まずは「む」「むず」の6つの意味、全て言えますか? 言えない人は復習!!
〜「む」「むず」の意味〜
推量(ス)・意志(イ)・勧誘(カ)・仮定(カ)・婉曲(エ)・適当(テ)
覚え方は「スイカカエテ」
覚え方は載せた通り、「スイカカエテ」です。多分不良品のスイカを買ってしまって、交換を希望しに店に来たんでしょうね(笑)
そもそもこの6つを覚えていないと識別の段階に入れないので、これを覚えることが最優先! その上で、見分け方を説明していきます。
名詞・助詞が後ろにきた時は、婉曲or仮定
まずはこの大原則を覚えましょう。もっと詳しく言っておきますね。
後ろが体言なら、婉曲
後ろが助詞なら、婉曲or仮定
体言が後ろに来た瞬間、すぐに婉曲判断をして大丈夫です! 一方で後ろが助詞であれば、仮定か婉曲かを見極める必要があります。先ほどの例文に注目しましょう。
例6)討死せむこそ、心苦しけれ
(討ち死にしたら、痛々しい)
この例だと、後ろに助詞「こそ」がついています。まあぶっちゃけ婉曲でも訳せるのですが、今回は仮定で訳します。この辺は(みなさんが嫌いなのはわかっていますが)文脈判断しかありません。
ただし現代語訳の問題ではなく、単純な古文読解で出てきたときには、全部婉曲で訳してスルーして大丈夫です。
例7)参りむずる人(参上するような人)
この場合は、後ろに名詞「人」が来ています。名詞が来たら、ほぼ間違いなく婉曲で訳します!
人称で判断
続いては学校でも習う定番のやり方を紹介します。人称で判断するというものです。
1人称:意志
2人称:適当、勧誘
3人称:推量
「〜しよう」ってもちろん「私」の話ですよね。「〜だろう」は、他の何か(つまりは3人称)の話ですよね。一方で「〜するのがいい」というのは、「あなた」の話になります。
この人称による見分けは絶対にマスターしましょう! ただし、もちろん例外はあります。「あなた」のことでも推量になることは考えられます。なので最後に必ず訳してみて、明らかに不自然だったらしっかり適切な訳し方を考えましょう!
適当・勧誘は、決まった用法が頻出!
さらに、適当・勧誘の用法は、決まった用法があります。
こそ…め
こそ…むずれ
なむ(や)
てむ(や)
このあたりの用法は頭に入れておくと、かなりやりやすくなります。
例4)聞き給ひてむや(お聞き入れになりませんか)
例5)ねんごろにてありなむ(親切でいるのが良い)
さっきの例でも、やはりこの使われ方がされています!
まとめ
ということで、推量の助動詞「む」「むず」についてまとめてみました。識別は練習しないとできるようになりません。実践練習を重ねて、マスターしましょう!
コメント