〈世界史〉5分でわかる、イスラーム世界の税制

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 こんにちは、今回はイスラームの経済に注目して解説していきたいと思います。イスラーム世界は商業によって成り立っていると言っても過言ではないわけですから、税制の仕組みはしっかりと覚えなければなりません。

イスラーム世界の税制

前提

 よく問われるのは、イスラーム世界の税制ですよね。まず税には大きく2種類ありました。一つはジズヤ(人頭税)、もう一つはハラージュ(土地税)です。イスラーム世界にはこの2種類の税があるということは前提として押さえておいてください。

 あともう一つ、イスラームにおける他宗教のあり方も覚えておいてください。なんか勘違いしている人もいそうですが、イスラーム信仰者は全員平等であり、かつ他の宗教の人も啓典の民として認めています。イスラームの人にとっては、イエス=キリストモーセも全員預言者です。イスラームの人にとってムハンマドはあくまで最大の預言者に過ぎないのです。

ウマイヤ朝における税制

 ウマイヤ朝において、ジズヤの支払いを条件にイスラーム教以外を信仰している異教徒は、ズィンミー(庇護民)として信仰や生命の安全を保障されました。感覚としては、「お金を払ってくれるんなら、君らの信仰を認めてやるよ」という姿勢です。まあ単に異教徒を弾圧するのではなく、それを収入に結びつけるというのがまさに”商業民族”のイスラームらしいやり方ですよね。ただし問題なのは、ジズヤの支払いを求められたのは、征服地の人全員なんですね。つまり、非アラブ人のムスリム(マワーリー)も支払いを求められたんですよ。逆にアラブ人には支払いを求められなかったんですね。

 つまり当時のジズヤは、アラブ人じゃない人に課されてアラブ人には免除されていたわけです。これっておかしいよね。だってムスリムは皆平等の原則に反してるじゃないですか。このことからウマイヤ朝はアラブ人第一主義ということで「アラブ帝国」と呼ばれています。

 また、ハラージュについても非アラブ人全員に課され、アラブ人ムスリムには課されませんでした。

アッバース朝における税制

 一方のアッバース朝は、「イスラーム帝国」を実現した王朝です。すなわち、「ムスリムは皆平等」という原則を税制の面で実現しました。

 これまで非アラブ人ムスリムに請求されていたジズヤについては請求しないようになりました。逆にハラージュについては、アラブ人であっても課されるようになりました。一方のズィンミーにはこれまで通りジズヤとハラージュの負担が課されました

 お分かりですか? 全員に土地税であるハラージュの支払いを課したのに対し、人頭税のジズヤはイスラーム教徒でない人だけに課したのです。まさに「イスラーム帝国」ですよね!

まとめ

 今回はイスラーム世界における税制についてまとめました。今度は、イクター制やアター制についても解説するつもりですので、まずはこの部分をしっかり復習しておきましょう。

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