今回は助動詞「き」「けり」について解説します。
過去の助動詞「き」「けり」
古文の過去を表す助動詞には「き」「けり」の2種類があります。ただこの2つについては使い方が少し違います。今回は、その部分に注意してください。
助動詞の使い方
過去の助動詞「き」
〜「き」の活用〜
(せ)・○・き・し・しか・○
意味はもちろん過去です。これはわかりますよね。ただ厳密には、自分が直接知っている過去について話す際に使います。言い換えれば経験過去ですね。
例)君が見し山里はいとありがたし(君が見た山里はめったにないほど素晴らしいものだ)
上の例文は、君という人物が実際に見たものについて述べているため「き」を使います。
過去の助動詞「けり」
まずは活用です。
〜「けり」の活用〜
(けら)・○・けり・ける・けれ・○
意味ですが教科書では「過去」と書かれています。もちろん合っていますよ。ただし正確には、間接的に伝え聞いた過去、すなわち伝聞過去を表す助動詞になります。
例)春になりにけり(春になった)
これについてはわかりますかね? 春になったようだという、直接経験したのではなく、間接的に伝え聞いた(例えば桜の花が咲いたことで春の訪れを感じた)ということですよね。こういうときは、「き」ではなく「けり」を使います。
詠嘆の助動詞「けり」
助動詞「けり」にはもう一つの意味があります。それが詠嘆です。訳としては「〜だなあ」とかですかね。イメージとしては、何かに気づいた時に使うと思ってください。よく「気づきのけり」という表現がなされますね。
例)今宵は十五夜なりけり(今宵は十五夜だなあ)
まあ使い方としては、こういう感じですね。ただしここで疑問に思うでしょう。「過去と詠嘆はどうやって区別するんだ!!!」っていう疑問ですね。その疑問、ここで一気に解消します。
〜詠嘆の「けり」が使われる条件〜
①和歌や会話文に用いられているとき
②地の文で「なりけり」となっているとき
以上です。もちろん絶対ではないですが、入試のほとんどのレベルは上の見分け方をマスターしていれば大丈夫です。
まとめ
今回は、助動詞「き」「けり」について解説しました。過去にも微妙にニュアンスの違いがあること、「けり」には詠嘆の意味もあること、この2点は覚えておいてください。
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