〈化学〉イオン化エネルギーと電子親和力

化学

イオンについて

まず、イオンがなにであるか説明できるでしょうか?

教科書や授業では当たり前のように”イオン”という言葉が使われていますが、私が初めて習った時にはイオンとはなんぞや?と疑問に思っていました。

通常、原子や分子は正電荷を帯びている陽子と負電荷を帯びている電子の数が一致しているので電気的に中性です。

しかし、化合物の中には陽子と電子の数が異なり、電荷を帯びているものがあります。

これがイオンであり、陽子の数の方が多く全体として正の電荷を帯びているもの陽イオンと呼び、反対に電子の数の方が多く全体として負の電荷を帯びているもの陰イオンと呼びます。

ではなぜ原子は電荷に偏りを持つイオンのような状態をとるのでしょうか?

陽イオンになる場合(イオン化エネルギー)

リチウムやナトリウム、カリウムなどの1族の元素やマグネシウムやカルシウムなどの2族の元素は最外殻に電子を一つ、または二つ持ちます

そのため、イオン化エネルギーを受け取って電子を放出することで、18族の希ガスの電子配置をとることができるのでより安定になります

ここで、電子が放出されても原子核の陽子数は変わらないので、全体として正電荷を帯びた陽イオンになるのです。

1族や2族の元素は電子を一つまたは二つ引き抜くことで安定な貴ガスの電子配置をとることができるので陽イオンになりやすい元素といえます。

注意してほしいポイントはイオン化エネルギーとは原子から電子を引き抜く際に必要なエネルギーです。

なのでイオン化エネルギーは全ての原子に存在しており、特に一つ目の電子を引き抜く際のエネルギーを第一イオン化エネルギーと呼び、さらに二つ目の電子を引き抜く際のエネルギーを第二イオン化エネルギーと順に呼びます。

イオン化エネルギーの大小は電子を引き抜いた際の電子配置の安定性が影響します

1族元素は電子を1つ引き抜くことで安定な貴ガスの電子配置となるため、第一イオン化エネルギーは低いですが、第二イオン化エネルギーは貴ガスの電子配置から電子を引き抜くことになるため非常に高いです。

陰イオンになる場合(電子親和力)

17族のフッ素や塩素は最外殻電子を7つもつため、電子が一つ加わると安定な貴ガスの電子配置となります

このとき、電子が陽子の数より多くなるため、全体として負電荷を帯びた陰イオンになるのです。

また、貴ガスの電子配置をとった際に安定になった分、電子親和力としてエネルギーが放出されます

17族や16族の元素は一つまたは二つ電子が加わることで安定な貴ガスの電子配置をとることができるので、陰イオンになりやすい元素と言えます

注意すべきポイントは、貴ガスの元素には電子親和力はありません

電子親和力とは、貴ガスの電子配置になった際に放出されるエネルギーなので貴ガスそのものには定義されないということです。

また似たような言葉で電気陰性度があります。

これは原子が電子を引きつける強さを表す指標であり、電子親和力とは全く異なるものであるので注意しましょう。

まとめ

原子は電子を放出したり、受け取ったりすることでイオンになります。

イオン化エネルギーによって、原子から電子が引き抜かれ陽イオンになります。

1族や2族の元素は電子を一つまたは二つ引き抜くことで貴ガスの電子配置をとることができるので陽イオンになりやすいです。

つまり、周期表では左側の元素の方がイオン化エネルギーが低く、陽イオンになりやすいです。

原子が電子を受け取る際に電子親和力が放出されて陰イオンになります。

17族16族の元素は電子を一つまたは二つ受け取ることで貴ガスの電子配置をとることができるので陰イオンになりやすいです。

つまり、周期用では右側の元素の方が電子親和力が大きく(安定になる分、多くのエネルギーが放出される)陰イオンになりやすいです。

ただし、いずれも貴ガスは電子配置がすでに安定なためイオンにないにくいことを頭に入れておきましょう。

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