物質の種類
化学は物質の変化を扱う学問ですが、化学について学ぶ上で扱う物質が純粋なものであるか、他の物が混合しているかどうかを知ることは大切です。
今回は、化学の問題で忘れた頃に出てきてたびたび受験生がミスをする物質の分類についてみていきましょう。
純物質
一種類のみの物質からなるものを純物質といいます。
例を挙げるなら酸素、窒素、水、鉄、二酸化炭素などです。化学式で表せるものはほとんどが純物質と理解していると困ることはありません。
ここで純物質はさらに単体と化合物二つに分類されます。
これは純物質が一つの元素から構成されるか、複数の元素によって構成されるかの違いです。
先ほど挙げた例で言えば、単体は酸素(O)と窒素(N)と鉄(Fe)、化合物は水(H2O)と二酸化炭素(CO2)であることがわかりますね。
混合物
複数の種類の純物質からなるものを混合物といいます。
例を挙げるなら空気や海水などです。混合物は複数の純物質が混合しているので化学式で表せないものと理解しましょう。
ここで注意しておきたいのは化合物と混合物の違いです。どちらも複数の種類からなるものですが、化合物は複数種の原子からなるものであり、混合物は複数の化合物からなるものです。いずれにせよ、迷ったら化学式で表せるか表せないかで判断しましょう。
実践例
塩酸
これは超頻出ですね。塩酸はHClだから化合物だと思い、何人もの初見者を引っ掛けてきたものです。
塩酸は塩化水素が水に溶けた溶液です。
ですので塩化水素(HCl)と水(H2O)の混合物になります。同様に水酸化ナトリウム水溶液やヨウ素液と入った水に溶けた溶液は全て混合物ですので注意しましょう。
水道水
水、なんですけれど水道水にはナトリウムやマグネシウムなどのミネラルが微量に含まれていたり、浄水の過程で塩素が添加されているので混合物です。
一方で水を煮沸して精製した蒸留水は純粋な水ですので化合物ですね。
硫酸銅五水和物
硫酸銅に水が配位した化合物です。
硫酸銅と水なので混合物とみなしがちですが、一分子の硫酸銅に対して5つの水分子が配位したものであるので硫酸銅五水和物はCuSO4・2H2Oの化学式で表される化合物ですね。
他にも水和物は水が配位した化合物であるので注意しましょう。
セッコウ・セメント
名前は似ていますがセッコウは化合物でセメントは混合物です。セッコウは硫酸カルシウム二水和物でありCaSO4・2H2Oの化学式で表される化合物です。一方でセメントはコンクリートやモルタルを作る際の接着成分であり、二酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどを含む混合物です。
セメントなどの製品は混合物であることがほとんどですが、セッコウやアルミナ(酸化アルミニウム)など化合物に慣用名があるものには気をつけましょう。
まとめ
長々と説明しましたが、まとめると以下の図のような判別法を使えばよいです。
化学式で書けるかどうかを確かめてみて、純物質の場合には含まれる元素の種類を確認しましょう。
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