今回は、無機化学の問題を解くにあたって知っておきたい気体の性質を解説していきます。気体ごとの知識はWikipediaとかで調べられてしまうと思うので、今回は気体ごとではなく特徴ごとにまとめていきたいと思います。
酸性・中性・塩基性の分類
気体の中でも水に溶ける気体と溶けない気体があります。水に溶けない気体を中性気体といいます。具体的には、水素・酸素・窒素・一酸化炭素・一酸化窒素などがあります。一方で水の溶ける気体もたくさんありますが、その溶液の液性によって酸性気体と塩基性気体に分類することができます。また覚えなきゃいけないのかと思いきや、実は塩基性気体はアンモニア以外ありませんので、残った気体は全て酸性気体と覚えてしまって大丈夫です。
もう一度まとめておきましょう。
酸性…塩素・塩化水素・二酸化硫黄・二酸化窒素・二酸化炭素・硫化水素
中性…酸素・水素・窒素・一酸化炭素・一酸化窒素
塩基性…アンモニア
ざっとこんな感じです。このあたりが重要な気体になってくるかと思います。
毒性の有無
毒性があるかどうかもよく聞かれます。毒性がある気体だけ覚えましょう。覚え方としては、酸性・塩基性気体に加えて、オゾンと一酸化炭素になります。ただし酸性気体の中でも二酸化炭素は無毒です。まあこれはわかるよね、有毒だったら地球上の人間がみんな死んでます。
有毒…塩素・塩化水素・二酸化硫黄・二酸化窒素・硫化水素・アンモニア・一酸化炭素・オゾン
臭い
臭いについてもまとめておきましょうか。覚え方としては、大体毒性と同じです。酸性気体と塩基性気体に加えてオゾンにも臭いがあります。また、毒性の項目と同じく、二酸化炭素には臭いがありません。これも当たり前だね、二酸化炭素に臭いがあったら大変だぁ。あと、硫化水素は腐った卵の臭いがします。
刺激臭…塩素・塩化水素・二酸化硫黄・二酸化窒素・アンモニア
腐卵臭…硫化水素
特異臭…オゾン
色
色のある気体は、みなさんそんなに思いつかないと思います。実際に色のある気体で覚えなくてはならないものは4つしかありません。
フッ素:淡黄色
塩素:黄緑色
二酸化窒素:赤褐色
オゾン:淡青色
フッ素と塩素については、ハロゲン元素ですね。17族の元素については、それぞれの色と状態が重要だったはずです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
二酸化窒素については、四酸化二窒素との平衡状態を試す実験でよく用いられます。赤褐色なので、目視で判断できるんですよね。
オゾンといえば、みなさんイメージするのはオゾン層だと思います。空を見てください。青色ですよね。それ繋がりで、淡青色であると覚えましょう。
酸化・還元作用
酸化剤や還元剤としても使われます。重要なものは覚えておきましょう。
酸化剤…塩素・オゾン
還元剤…硫化水素
両方 …二酸化硫黄
塩素とオゾンについては気体の酸化剤になります。まあどちらも結構出てくるので、覚えているとは思います。硫化水素が還元剤であることは、知らなくてはならない知識です。二酸化硫黄が酸化剤と還元剤の双方の役割を果たすこともよく知っていると思います。
気体の集め方
気体の集め方もしっかり覚えておきましょう。これについては、超簡単です。酸性気体は下方置換、中性気体は水上置換、塩基性気体は上方置換、という覚え方で大丈夫です。
下方置換…塩素・塩化水素・二酸化硫黄・二酸化窒素・二酸化炭素・硫化水素
水上置換…酸素・水素・窒素・一酸化炭素・一酸化窒素
上方置換…アンモニア
中性気体とは水に溶けない気体であると先程言いましたので、水上置換で集めることは当たり前だと思います。中性気体を除いて空気より軽い気体はアンモニアしかないので、自然と上方置換はアンモニアだけになります。そして残った酸性気体は下方置換です。どうです? こんな楽な覚え方、他に紹介している所はないと思います。
ただし1点だけ注意すべきことがあります。酸性気体に分類している二酸化炭素ですが、これだけは水上置換で集めることもできます。二酸化炭素が溶けると炭酸水になるという知識は皆さんが持っていますが、実は二酸化炭素ってそんなに水に溶けないんですね。だから純粋な気体を集めるために、多少溶けてしまうことを覚悟して水上置換を用いることもあります。
まとめ
今回は気体の性質についてまとめました。このカテゴリでまとめられた媒体は少ないと思いますので、ここで良く覚えておきましょう。
コメント