相加相乗平均の関係式は大学受験において狙われる分野のひとつです。この式を使う時の注意点もあるのでしっかり要点をおさえましょう!
相加相乗平均の関係式
(a+b)/2≧√ab
ここでは、(a+b)/2が相加平均、√abが相乗平均を表しています。この式は常に成立します。
相加平均・相乗平均とは
相加平均と相乗平均とはそもそもどのようなものなのでしょうか。
相加平均は、いわゆる多くの人が知っている「平均」と同じ考え方です。相加平均はn個の値をすべて足して、その値を個数nで割る式です。例えば、8,4の相加平均は(8+4)/2=6となります。
相乗平均とは幾何平均とも言い、あまり見かけない人も多いと思います。相乗平均はn個の値をすべてかけて(掛け算)、その値のn乗根をとる式です。例えば、8,4の相乗平均は8,4の積の2乗根(平方根)なので、√(8×4)=4√2となります。
8,4の相加平均と相乗平均の値の関係を見比べてみても、やはり相加平均の方が高い値となることが確認できるでしょう。
関係式の導出方法
まず初めに、(√a -√b)²について考えます。ルートの中は0以上でなければいけないのでa,b≧0です。また、2乗しているので、(√a -√b)²≧0を満たします。
次に、(√a -√b)²を展開すると、
(√a -√b)²=a+b -2√ab
となる。ここで、(√a -√b)²≧0なので、a+b -2√ab≧0も成立しています。この式について、計算を進めると、
a+b -2√ab≧0
a+b≧2√ab
(a+b)/2≧√ab
となり、証明の完成です!実際の問題ではa+b≧2√abとして使うことも多いです。
式を利用する際の注意点
そもそも√(ルート)を考える時点で、ルートの中は0以上でなくてはいけないので、a,b≧0は式を利用する際の条件となる。
また、「最小値を求めよ」という問題では、相乗平均の値(√ab)が本当に最小値なのかこの式からでは判別できない。そこで、相加平均と相乗平均の値が等しくなる点を考える必要がある。(a+b)/2=√abが成立するような条件(等号成立)は(√a -√b)²=0であり、それはつまりa=bであることもわかる!この「等号成立」は必ず確認しなければいけないことが多いので注意する必要があります。
練習問題
x>0のとき x+1/x の値の最小値を求めよ。
この問題は相加・相乗平均の関係式を使う典型的な問題です。着目したいところは、(x)×(1/x)=1となるところです。相乗平均は積を考えるのでそこに着目したというわけです。
前提条件として、x,1/xはどちらも0以上でなくてはいけないですが、これは問題文の「x>0のとき」という条件から明らかです。よって、相加平均と相乗平均の関係式から、
x+1/x≧2√((x)×(1/x))
x+1/x≧2√1=2
よって、x+1/x≧2だから最小値は2。と言いたいところですが、x+1/xが本当に2をとれるのかは分かっていません。x+1/xの値が2以上というのは正しいですが、最小値は3かもしれません。なので、本当にx+1/xの値の最小値は「2」と証明しなければいけないのです。
x+1/x=2を満たすxはx=1と求められるのでここで初めて最小値が2だと証明できました。
相加相乗平均の関係式の応用
相加相乗平均の関係式は値が3つ以上でも成り立つことが知られています。
例えば4つの場合である1,2,2,4を考えます。
相加平均は(1+2+2+4)/4=2.25です。
相乗平均は4√(1×2×2×4)=2です。
このように、3つ以上の場合でも相加平均と相乗平均の関係式は成り立つのです。
なぜ?と思う方は証明してみてはいかがですか。
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