〈世界史〉国際連盟の仕組みと歴史 ~なぜ失敗したのか~

世界史の記事のサムネイル 世界史

 今回は、国際連盟の仕組みと歴史について掘り下げていきます。この記事を通して、国際連盟はなぜ失敗したのかについて考えていきましょう!

国際連盟の成立

 1914年に始まった戦争といえば、みなさんお分かりの通り第一次世界大戦ですよね! この戦争の後に成立した国際的な組織が国際連盟になります。

 最初に国際連盟の設立を提案したのは誰でしょう? アメリカ大統領のウィルソンですね。彼は民主党の人です。

 そして、1920年に史上初の国際平和機構として国際連盟が成立しました。本部はスイスのジュネーヴです。

国際連盟は、ウィルソンの提唱で設立された史上初の国際平和機構

国際連盟の仕組み

〜国際連盟の組織〜

総会・・・全加盟国で構成/全会一致の原則

理事会・・・常任理事国は英仏日伊

連盟事務局・・・様々な分野の専門家

その他機関・・・国際労働機関、常設国際司法裁判所

一つずつみていきましょう。

総会

 総会は全加盟国にて構成される最高機関になります。議決については、全会一致の原則が取られていました。

理事会

 理事会は連盟の主要執行機関であり、常任理事国非常任理事国で構成されます。

〜理事会の常任理事国〜

イギリス・フランス・イタリア・日本

 常任理事国は全て覚えましょう。ちなみに、後にソ連ドイツも加わります。非常任理事国については、文字通り期限付きの理事国になります。

連盟事務局

 スイスのジュネーヴに設置された事務局では、様々な分野の専門家で構成されています。イメージ的には、国際連盟の公務員だと思ってください。

 ちなみに事務局の次長についた有名な日本人がいますので紹介しておきます。新渡戸稲造という人物です。こちらは日本人として覚えておきましょう。

その他機関

 そのほかにも専門機関はいっぱいありますが、重要なものだけ紹介しておきます。

 一つは国際労働機関(ILO)です。この頃は社会主義思想も高揚しており、労働についてはかなり注目されていたようですね!

 もう一つは、常設国際司法裁判所です。これは、オランダのハーグに設置されました。ジュネーヴではありません。偶然なのか必然なのか、「国際法の父」と呼ばれたグロティウスはオランダ出身ですね。

国際連盟の問題点

 さあ、論述などで頻出のテーマですね。国際連盟の問題点についてお話ししましょう。まずはポイントを教えます。

~国際連盟の問題点~

全会一致の原則

制裁方法の不足

大国の不参加

全会一致の原則

 先ほど出てきた総会ですが、ここでは全会一致の原則が取られていました。そのため、極端なことを考えれば、一国でも反対すれば総会での議決はできないのです。

 これ分かります? 戦争というものは、国同士で利害が対立するから起こるわけですよね。しかし、戦争をいざ止めようってなっても、総会が全会一致の原則を取っているようでは、肝心な時に国際平和機構として機能しなくなってしまいます。もちろん、全てが全てこういうわけではありませんが、少なくとも全会一致の原則を取ったことで国際連盟が動きにくいことは事実ですよね。

制裁方法の不足

 これは、この時点で改善することは不可能だったのでしょうが、当時の国際連盟における制裁方法は経済制裁のみでした。これはどういうことか、詳しく説明します。

 仮にA国がB国に対して、一方的な侵略を行ったとします。このとき、国際連盟ではA国に対して「やめろー」を言うわけですが、全然聞いてくれません。ならば制裁しましょうってなりますが、この時にはA国に対して、物資や資源を送らないということしかできません。もっと言えば、A国に対して軍事作戦をとって強引に止めること(武力制裁)はできないのです。

 もちろん経済制裁だけで万事解決すれば理想的ですが、そんな簡単にもいきませんね。実際に日本は、石油輸出が禁じられてしまったことで侵略をさらに進めてしまいました。

大国の不参加

 国際連盟最大の問題点と言えば、大国が参加しなかったことです。

 まず何よりも驚きなのは、アメリカが参加しなかったことですね。「言い出しっぺのアメリカが参加しないとは何事だ!」と言いたいでしょうが、これにもいろいろ事情がありました。民主党で大統領のウィルソンは、はっきり言ってやる気満々でした。ところが野党の共和党がアメリカの国益にならないことを理由として、参加に反対するんですね。まあ、共和党が国際協調よりはアメリカファーストだっていうイメージは、アメリカ前大統領を見ればなんとなく分かるでしょうね(笑)

 それから、設立当初は入りたくても入れない国がありました。ソ連です。なぜソ連をそんなにおそれん(ソ連)のか。社会主義だからですね!

 あとは敗戦国であるドイツも当初は参加できませんでした。あくまで、勝ち組しか入れてもらえなかったわけですね。

国際連盟の終わり

 国際連盟は様々な問題があったこともあり、力はそれほど大きくありませんでした。そして、第二次世界大戦の開戦という最も最悪な結末を迎えてしまいました

 終戦後、新たに国際連合が発足し、国際連盟はその半年後に解散しました。

まとめ

 以上が世界史Bで聞かれそうな国際連盟に関する情報です。国際連盟に関連して、国際連合についても重要になってきます。国際連合の解説は以下の記事をご覧ください。

〈政経〉国際連合の仕組みと歴史 〜存在意義と問題点〜
こんにちは、今回は国際連合について深堀りしていきたいと思います。なお、世界史記事...

コメント

タイトルとURLをコピーしました