さあ、お待たせしました。大好評企画「文化史解説」の第2弾が完成しました。今回はヘレニズム文化を見ていきましょう。
ヘレニズム文化の概要
この時代の歴史背景を見ていきましょう。アレクサンドロス大王が東方遠征をおこない、ギリシア世界とオリエント世界が結び付けられました。その際、他民族抑圧はそこまで行いませんでした。このことを踏まえると、
ヘレニズム文化=ギリシア文化+オリエント文化
この方程式がすごい重要になります。ただですね、ヘレニズム文化自体は「ギリシア風」という意味ですよ。ヘレネス(ギリシア人)+イズム(-ism)で、「ヘレニズム」です。まあ、一応征服した方はギリシア人ですからね…
この世界ではコイネーと言われたギリシア語が共通語とされました。これ、ギリシア語ですよ~
それと世界市民主義という考え方が生まれます。カタカナでは、コスモポリタニズムといいますね。「ポリスの枠組みなんかにとらわれるな!」っていう風潮です。
アレクサンドリアの建設
ヘレニズム文化で最重要都市はやはり、アレクサンドリアですよ。アレクサンドロス大王は、征服地にギリシア人植民地を建設し、自分の名前をつけていました。エジプトのナイル川河口のアレクサンドリア市は、その第一号であるとともに、学園都市でした。ちなみに今でも、北アフリカ有数の都市ですよ!
では皆さん、この地で建設された学芸の中心施設といえば?
ムセイオンですね。某大学で過去にこんな問題が出ました。
以下の選択肢ア~オから、ムセイオンの関係者ではない人物を1人選べ
ア.エウクレイデス イ.エラトステネス ウ.アルキメデス
エ.アリスタルコス オ.ピタゴラス
さーて、どうやって解きますか? 一人ずつムセイオン出身であるか確かめる必要はありません。だってそんなの覚えてる人いないでしょ? ここで重要なのは「ムセイオン=ヘレニズム文化」という事実です。裏を返せばヘレニズム文化の前、すなわちギリシア文化では登場するはずがありません。さあ、前回の記事を見ていればわかりますね! 私が皮肉を言った「数学バカ」です。オのピタゴラスが答えになります。この話を聞いてわからなかった人、いますぐ前回のギリシア文化解説を読んでくださーい!
哲学
まず哲学はギリシア哲学から新たな段階へ進みます。
ストア派・・・禁欲による幸福を追求、創始:ゼノン
エピクロス派・・・快楽を重視、創始:エピクロス
まずストア派について解説しましょう。これはストイックの語源ですね。そのイメージを持ってもらえればイメージがつきやすいと思います。禁欲をすることで、後の幸福を得よう。もっと分かりやすく言うなら、「新型コロナが流行している中、今我慢することが、今後の幸福につながる」っていう発想と同じようなものですかね。
一方のエピクロス派は、精神的な快楽を重視します。快楽=魂の安静=最高善とされました。なんとなく、ストア派の逆かな?っていうイメージを持ってください。
自然科学
さてヘレニズム文化を代表する理系人間を、4人押さえましょう。
エウクレイデス・・・平面幾何学を大成
アルキメデス・・・浮力やてこの原理を発見
アリスタルコス・・・地球の自転や公転を唱える
エラトステネス・・・地球球体説を唱え、地球の周囲の長さを計算
さーて、この記事を書いているHistory-tellerは実を言うと理系ですので、ちょっと盛り上がっちゃいますよ~(「なんで理系のやつが世界史の記事書いてるんだ?」っていうツッコミは、しないでね… TMTが理系同盟なんです…)
エウクレイデス
皆さんは、ユークリッドという方が親しみがあるかもしれませんね。ユークリッドの互除法ですよ! 不定方程式の整数解を求めるときに使うやつね! ただ文化史的には、平面幾何学を大成したと覚えておきましょう。著書は『幾何学原本』です。
アルキメデス
さあ、この人は何ですか? 「アルキメデスの原理」です。物理選択の人は気づいてください(あんまりいない?)。浮力ですね。
浮力=ρVg(密度×体積×重力加速度)
ついでに覚えておきましょう(笑)。ちなみに、てこの原理を発見したのもアルキメデスです。
アリスタルコス・エラトステネス
ここからは地学で私の専門外なので、スーッと終わらせます。
アリスタルコスは地球の自転と公転(地動説)を主張しました。
エラトステネスは地球を球体と考え、地球の周囲の長さを計算しました。
この2人すごくないですか? 後にコペルニクスが唱えるようなことを、すでに紀元前に唱えてるんですよ。後のローマ文化で登場するプトレマイオスは天動説を唱えます。
彫刻
彫刻は、とりあえず4つ覚えておけば間違いないですね。
ミロのヴィーナス・サモトラケのニケ・ラオコーン・瀕死のガリア人
さあて、復習しましょう。ギリシア彫刻の特徴は何でしたっけ? 神様であっても人間っぽいことですね。ヘレニズム文化はギリシア文化の要素も入っています。
ミロのヴィーナスって、美の女神を彫ったものですが、かなり人間っぽいんですよ。これぞギリシアらしさですね。ちなみに、腕はないです。
サモトラケのニケについては、「勝利の女神」とされています。ニケをアルファベットで書くと「NIKE」ですが、見覚えないですか? そうです、ナイキです。ナイキのロゴは、この彫刻の羽から来てるんですね。よかったら、ロゴを調べてみてください。ちなみに、顔の部分はないですよ。
ラオコーンと瀕死のガリア人は、名前だけとりあえず覚えましょう。
手持ちの図説で写真を見ることを忘れずに~
まとめ
いかがでしたか? ヘレニズム文化は、軽い方だと思います。ギリシアは重いもんね… 次回はローマ文化を載せますので、しっかり復習しておいてください。
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