こんにちは、今回は大学入試の日本史Bで登場する”お坊さん(僧)”をまとめて整理したいと思います! 混ぜるなキケン、要注意・要暗記です。
古墳・飛鳥時代の僧
古墳時代に登場するのは来日僧が中心になります。
観勒・・・百済/暦法・天文・地理を伝える
曇徴・・・高句麗/絵の具・紙・墨を伝える
味魔之・・・百済/伎楽舞を伝える
恵慈・・・高句麗/聖徳太子の師
これは、ひたすら覚えましょう。観勒と曇徵がよく聞かれます。あとの2人はマニアック。どの国の僧で何を伝えたのか、必ず整理して覚えましょう。
飛鳥時代には、小野妹子と一緒に派遣された留学僧が重要です。
旻・・・第3回遣隋使/大化改新で国博士に
南淵請安・・・第3回遣隋使
この2名は、小野妹子や高向玄理とともに、708年に隋へ派遣されています。その後、旻と高向玄理は大化改新の際に国博士に就任しています。ここに南淵請安が入っていないことがよく問われますので、必ず押さえておきましょう。
奈良時代の僧
奈良時代のお坊さんは、政治史で2人ほど大事な人がいますね!
玄昉・・・遣唐使/橘諸兄政権を担う
道鏡・・・孝謙天皇と結んで政権を担う
奈良時代には文化面でも活躍した人がいました。
行基・・・社会事業を行う/大僧正に任じられる
鑑真・・・失明しつつ唐から来日/東大寺戒壇・唐招提寺の建立
良弁・・・東大寺初代別当
道昭・・・玄奘に法相宗を学ぶ/日本で初めて火葬
行基と鑑真が圧倒的に聞かれます。行基については様々な社会事業(布施屋、架橋など)を行ったことで、一般民衆への直接布教を禁じる僧尼令違反で弾圧も受けましたが、最終的には大僧正に任じられ、大仏造立に協力しました。鑑真については、4度も航海に失敗した上、失明までしましたが、それでも日本に来たことで有名ですね。日本では、東大寺に戒壇を設け、仏教戒律を授けました。その後、筑紫観世音寺と下野薬師寺にも戒壇が設置され、これらは合わせて天下三戒壇と呼ばれました。
良弁と道昭はマニアだけが覚えてください。ちなみに一つ注意事項ですが、道昭は厳密には飛鳥時代の人物です。ただし、道昭が日本史で問われるときには法相宗や行基がセットですので、こちらで説明しています。700年に日本で初めて火葬された人物とされています。その後、702年には持統天皇も天皇で初めて火葬されています。
平安時代の僧
平安時代については、最澄・空海とその関連人物からみていきましょう。
最澄・・・天台宗を開く/比叡山延暦寺
空海・・・真言宗を開く/高野山金剛峯寺
円仁・・・山門派/『入唐求法巡礼行記』を著す
円珍・・・寺門派
最澄と空海が最重要人物です。それぞれが天台宗と真言宗を開いたということは当たり前の知識ですね! 天台宗については、円仁と円珍もよく聞かれます。この2人を機に徐々に山門派と寺門派に分裂していきます。
続いては、文化関連の人物。
成尋・・・『成尋阿闍梨母集』の成尋/宋で死去
奝然・・・海外から清涼寺に釈迦如来像を持ち帰る
空也・・・「市聖」として布教活動
源信・・・恵心僧都と呼ばれ、『往生要集』を記す
成尋と奝然については、外交史で聞かれることがあります。特に奝然ですね。中国との国交がない中で、清涼寺に釈迦如来像を持ち帰ったことが聞かれます。
続いては、おまけ
西光・・・鹿ヶ谷の陰謀/死罪
俊寛・・・鹿ヶ谷の陰謀/流罪
この2名と藤原成親で鹿ヶ谷の陰謀を起こしたことが有名ですよね。この2人はお坊さんなので、一応ここに載せています。
鎌倉時代の僧
鎌倉時代は鎌倉仏教が誕生したわけですので、まずはそこで登場する人を覚えましょう!
法然・・・浄土宗
親鸞・・・浄土真宗
日蓮・・・日蓮宗
一遍・・・時宗
栄西・・・臨済宗
道元・・・曹洞宗
ここは文化史解説の場ではないので、鎌倉仏教の詳細はお話ししません。それぞれの人物と開いた宗派が一致するようにしましょう。
それでは続いて、
唯円・・・親鸞の弟子/『歎異抄』
懐奘・・・道元の弟子/『正法眼蔵随聞記』
以上の2名は、鎌倉仏教の関連人物として登場します。特に重要なのは唯円ですね。彼は親鸞の弟子で『歎異抄』を著しました。
さらに続けて、旧仏教の人物も重要です。
貞慶・・・法相宗/笠置寺にこもる、「興福寺奏状」
明恵・・・華厳宗/高山寺を開く、『摧邪輪』
俊芿・・・律宗/戒律の復興を図る
叡尊・・・律宗/西大寺を中心に社会事業
忍性・・・律宗/極楽寺を開く、北山十八間戸を建てる
んー、これを覚えるのが大変なのよね。こういうのは、貞慶と明恵、叡尊と忍性がごちゃごちゃになります。あ、ちなみに貞慶は藤原通憲の孫です。
貞慶=笠置寺、明恵=高山寺、叡尊=西大寺、忍性=極楽寺というものをセットにして覚えておく。それから貞慶=「興福寺奏状」、明恵=『摧邪輪』ももちろん暗記ですよ〜。
次は、来日僧です。
蘭渓道隆・・・北条時頼と建長寺を建てる
無学祖元・・・北条時宗と円覚寺を建てる
一山一寧・・・日本朱子学の祖?
蘭渓道隆と無学祖元の区別がつくかが、もっとも重要なポイントです。それぞれが誰と結んで何寺を建てたのかを確実に押さえましょう。
慈円・・・九条兼実の弟/『愚管抄』
西行・・・『山家集』
無住・・・『沙石集』
仙覚・・・『万葉集注釈』
重源・・・東大寺復興
円伊・・・「一遍上人絵伝」
文化史関連の人物はこの辺りですね。まあ、人物と作品名くらいは一致させておいてください。詳細な説明は文化史解説で実施します。(鎌倉文化編の配信日は未定)
室町・安土桃山時代の僧
まずは政治史に登場する人から、
祖阿・・・遣明船の正使
尋尊・・・『大乗院寺社雑事記』『大乗院日記目録』を著す
祖阿については、肥富とともに足利義満が明に派遣した人物です。
次は臨済宗のお坊さんです。全員四文字っていうのがポイントです。
夢窓疎石・・・天龍寺開山、作庭も有名
瑞渓周鳳・・・『善隣国宝記』を著す
春屋妙葩・・・初代僧録
義堂周信・・・五山文学
絶海中津・・・五山文学
中厳円月・・・五山文学
一休宗純・・・大徳寺の僧/「一休さん」
夢窓疎石が一番聞かれますね、色々やってます。天龍寺の開山と、いくつかの作庭は有名ですね。春屋妙葩は相国寺を開いたことでも有名です。五山文学僧は義堂周信・絶海中津が比較的有名です。あとはおまけで一休宗純を載せてみました。
鎌倉仏教系の人物
日像・・・日蓮宗/京都で布教活動
日親・・・日蓮宗/足利義教に『立正治国論』提出
蓮如・・・一向宗/加賀で布教活動
顕如・・・一向宗/信長に対抗
日蓮宗関連では、日親ですね。『立正治国論』を記して足利義教に献上しましたが、怒らせちゃって鍋をかぶらされたらしいです。なので鍋かぶり日親と呼ばれます。
一向宗関連では、蓮如と顕如を覚えてください。特に顕如は信長に対抗した勢力として有名です。最後まで本願寺派として戦いましたが、結果的には敗れています。
次は、文化史です。
如拙・・・「瓢鮎図」
明兆・・・「五百羅漢図」
周文・・・「寒山拾得図」
雪舟・・・「四季山水図巻」「秋冬山水図」
全員、水墨画で有名な僧ですね。それぞれの作品を覚えておきましょう。本当は、可翁・黙庵もいるんですが、流石にパニックだと思うので4人くらいにしておきますね!
江戸時代の僧
江戸時代は3人ですね。
隠元隆琦・・・黄檗宗を開く
沢庵宗彭・・・紫衣事件に抗議して
円空・・・鉈彫の名人
黄檗宗は、隠元が始めた宗教になります。沢庵は紫衣事件で登場します。ちなみに、隠元はインゲンマメ、沢庵はたくあん漬けの名称由来です。知ってました?
まとめ
以上、見出しにしただけで64人(青太字は46人)います! 覚えるの大変ですね… まずはここに書いてある重要知識から覚えて、徐々に細かい知識も吸収していきましょう。
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